
退職や転職を考える際には、残りの在留期間を十分に確認しておくことが大切です。
実際の相談でも、残りの在留期間を意識しないまま退職してしまい、不本意にも一度帰国してから転職活動を行うことになったというケースが見られます。
帰国後でも転職活動は可能ですが、日本在留中に活動する場合と比べると選考上不利になることもあるため、退職前に状況を整理しておくことが重要です。
日本で働く外国人にとって、退職・転職は在留資格と生活費の両方に関わる問題です。
手続きを一つ間違えると、次のビザ更新に悪影響が出たり、受け取れるはずの失業手当を逃したりするリスクがあります。
知らないまま放置すると、20万円以下の罰金だけでなく更新審査での不利な評価につながる可能性があります。
この記事では、退職・転職を考えたときに最初に確認すべき3点を整理します。
横浜 慎二在留資格への影響・つまずきやすい手続き・相談先の使い分けを、動く前に確認してください。


木村 千恵子氏
Koyori キャリアワールド代表。国家資格キャリアコンサルタント/外国人雇用管理士®。
米国カリフォルニア州への留学を経て、Adobe Systems, Inc. にて日本向け製品開発に従事。
帰国後はアドビシステムズ株式会社で日本市場向けソフトウェアのローカライズプロジェクトを担当し、グローバル開発チームと国内サポート部門の橋渡し役として活動。
その後ローカライズ企業でプロジェクトマネージャーとして多言語プロジェクトを多数担当し、日本語・英語環境で働く現場課題に携わる。
2016年に独立。現在は、日本で働く外国人のキャリア相談や就職・転職支援、企業の外国人雇用・定着支援などを通じて、日本で働く外国人と受け入れ企業双方の支援に取り組んでいる。
外国人の退職・転職の不安を整理:まず確認したい3つのポイント



退職したらビザはどうなる?



失業手当はもらえるの?
日本で働く外国人にとって、退職・転職は在留資格や生活に直結する重大な判断です。
この記事では、退職・転職を考えたときに「まず確認してほしいこと」を3つのポイントに絞って解説します。
通常の会話では在留資格のことを指して「ビザ」という言葉も広く使われていますが、実際には在留資格によって働ける仕事内容や活動の範囲が決められています。
そのため、退職や転職を考える際には「今の在留資格でどのような活動が認められているか」を確認することがとても大切です。
Q1. 退職・転職を考えたとき、在留資格にはどんな影響がある?



退職したらビザってすぐ取り消されるんじゃないかと心配で…



在留期限まで滞在は続けられます。ただし「正当な理由なく3か月以上」活動しない状態が続くと取消の対象になります。
就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)は、退職しても在留期限まではそのまま日本に滞在できます。
また、退職後14日以内に出入国在留管理庁へ「契約機関に関する届出」を提出する義務があります。
この届出を省くと、20万円以下の罰金や、次回のビザ更新時に在留期間が短縮されるおそれがあります。
会社都合での退職か、自己都合かによっても状況は変わります。
会社都合の場合、資格外活動許可を得てアルバイトができる可能性がありますが、自己都合では認められないのが原則です。



退職理由を整理したうえで、先に専門家に確認することをおすすめします。
退職後「3か月以内に転職しないとすぐに在留資格が取り消される」と誤解されるケースが外国人の相談でも見られます。
入管法では「正当な理由なく3か月以上在留資格に対応する活動(就労活動など)を行っていない場合」取消の対象となる可能性があるとされています。
所属機関の届出について
所属機関に関する届出を行わない場合、入管法上は20万円以下の罰金の対象となる可能性があります。
実務上は罰金だけでなく在留資格の更新・変更審査で不利に評価される可能性もあります。
アルバイト(資格外活動)の説明
資格外活動の可否は、会社都合か自己都合かという退職の理由だけで一律に決まるものではなく、在留資格の種類や求職状況などを踏まえて個別に判断されています。
そのため、アルバイトの可否は具体的には資格外活動許可の内容によって個別判断される部分です。
Q2. 退職前後の手続きで、外国人がつまずきやすいポイントは?



日本語の書類や制度がよくわからなくて、手続きを後回しにしてしまいそうで…



よくある失敗は3つに集約されます。どれも「知らなかった」で済まないものばかりです。
①入管への届出を忘れる
前述の「契約機関に関する届出」は、制度自体を知らない外国人が非常に多いです。
雇用主側から説明がないまま退職し、次のビザ更新で不利になるケースが後を絶ちません。
②雇用保険(失業手当)の申請をしない
雇用保険に原則12ヶ月以上加入していれば、日本人と同じように基本手当を受給できます。
「外国人は対象外」という誤解が根強いので、ハローワークで確認してください。
③在留期限を確認しないまま受給を続ける
受給中に在留期限が切れると、就労ビザのままでは更新できません。
「特定活動」等への変更が必要になる場合があり、変更が認められなければ手当は打ち切りになります。
在留期限の残りを必ず確認してから動きましょう。
失業保険の加入期間や在留期限との関係について
雇用保険の基本手当は日本人と同様に外国人も対象ですが、離職理由によっては加入期間の要件が異なる場合があります。
例えば倒産・解雇など一定の理由による離職では、加入期間が6か月以上で受給対象となるケースもあります。
また、在留資格の更新や変更の可否は、在留資格の種類や求職状況など個別事情を踏まえて判断されるため、必ずしも一律に更新できないということではないのが実情です。
Q3. 不安があるとき、どこに相談すればいい?



相談したいけど、日本語に自信がなくて窓口に行くのが怖いんです…



悩みの種類によって窓口が違います。まずどこに行けばいいか、整理しましょう。
相談先は悩みの種類で使い分けます。
在留資格のことなら、出入国在留管理庁が第一窓口です。
東京の外国人在留支援センター(FRESC)では、在留資格の変更・更新、労働問題、法律トラブルまでまとめて相談できます。
失業手当や再就職については、ハローワークが窓口になります。
労働条件のトラブル(未払い残業代、不当解雇など)は、労働基準監督署が対応します。
厚生労働省の「外国人労働者向け相談ダイヤル」では、英語・中国語・ベトナム語をはじめ複数言語で電話相談ができます。
「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まずFRESCに連絡してみてください。適切な窓口への案内も受けられます。
一方で、実際の相談では労働問題だけでなく、日本でのキャリアや生活をどうしていくか整理したいというケースも少なくありません。
母国の家族のことや将来の永住を視野にキャリアを考える方もいるため、就職支援機関やキャリア相談の窓口を活用することも一つの方法です。
木村氏から読者へ向けのメッセージ


外国人が退職や転職を考える際には、在留資格、雇用保険、家族の状況など複数の制度や事情が関わることがあります。退職を決める前に状況を整理し、それぞれの専門家に早めに相談することが大切です。


キャリア相談(Koyoriキャリアワールド)
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